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交通事故後、こんなときどうなる⑨~人身傷害保険に協定書を提出して、人身傷害保険金を受領した後、加害者に請求した場合に、被害者が回収できる金額の範囲

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【問題の所在~協定書を提出しての人身傷害保険金の受領と加害者への賠償請求~被害者が回収できる金額の範囲】
被害者様が人身傷害保険から、人身傷害保険金を受領し、その後に、加害者の方に請求することはしばしばあります。

ここで、実務上、人身傷害社は、人身傷害保険金の支払にあたって被害者様に協定書を提出させ、
その後、自賠責保険から損害賠償額の支払として金員を回収することが少なくない、と思われます。
この場合、人身傷害保険に協定書を提出したことにより、加害者側から回収できる金額が影響を受けるのか、
すなわち、トータルでいくらの回収ができるのかは、被害者側としては、重大な関心事といえます。
 
下記の最高裁判所判決は、
適用約款や保険金受領までに実際に使用された書面等に基づいた判断であるため、
「同様の事案に対して、必ず同じ判断がなされるとは断言できませんが」、実務上、参考になる判決と考えられます。
 
 
【最高裁判所第1小法廷令和4年3月24日判決の内容】
三井住友海上火災保険株式会社の人身傷害保険について、
被害者(過失割合30%)が、三井住友海上火災保険株式会社に協定書を提出して人身傷害保険金の支払を受け、
その後、加害者に賠償請求をした事例です。
 
一審(福岡地方裁判所令和元年8月7日判決、担当裁判官:永田早苗)、二審(福岡高等裁判所令和2年3月19日判決、担当裁判官:裁判長山之内紀行、矢崎豊、杉本敏彦)は、
三井住友海上火災保険株式会社が、被害者に対し人身傷害保険金を支払った後、自賠責保険から受領した金員に相当する金額を、被害者の加害者に対する損害賠償請求権の額から全額控除することを認めました。
一審・二審の立場をとると、この事例において、被害者が、加害者側から回収できる金額は、大きく減少することになります。
 
しかし、最高裁判所は、一審・二審の判断とは異なり、
人身傷害条項等の約款の記載内容や保険金が支払われるまでに作成される文書の記載内容等を理由に、
被害者が三井住友海上火災保険株式会社に対し、自賠責保険金の受領権限を委任したものと解することはできず、支払われた保険金はその全額が人身傷害保険金というべきであるから、三井住友海上火災保険株式会社が、人身傷害保険金の支払いにより保険代位できる範囲を超えて、人身傷害保険金が控除されることはないと判断しました。
(担当裁判官:裁判長安浪亮介、山口厚、深山卓也、岡正晶、堺徹)
 
※ 裁判官については、いずれも敬称略。


【「解決ガイド」における参考記事】
「交通事故後、こんなときどうなる④~人身傷害補償保険と加害者への損害賠償請求権」
https://www.5225bengoshi.com/guide/detail/masterid/59?start=30

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