弁護士費用特約の実務④~弁護士費用特約をめぐる誤解と実際
ガイド一覧へ
2010年ころと異なり、最近(2021年5月現在)では、
「弁護士費用特約が使えるので、特約を利用して弁護士を依頼したい。」とお考えの方が非常に多くなっておられます。
そこで、社会に広く普及した弁護士費用特約について、実務的な面を中心に、皆様に情報提供をして参りたい、と思います。
《弁護士費用特約をめぐる誤解》
交通事故のご相談を多数、お受けした弁護士の経験から、多くの方は、
自動車保険に加入される時に、
「弁護士費用特約があるので、(特約の枠までは)弁護士費用は大丈夫ですよ。」
と説明されて、自動車保険に弁護士費用特約をお付けになっているものと思います。
(このような保険勧誘は、正確ではありません。)
そのため、弁護士費用特約に加入されている方の多くは、
「弁護士費用特約の枠までは弁護士費用はだいじょうぶ。」
※ 枠は300万円のことが多いです。
「どの保険会社でも、弁護士費用特約の内容は同じだろう。」
と思われているようです。
では、実際はどうなのでしょうか?
まず、
①無制限に支払われる訳ではなく、一定の基準があります。
もっとも、この点は、だんだんと基準が定められてきた印象で、一昔前までは、基準はあってないようなものでした。
全ての保険約款を調査したわけではないので、全ての保険会社の約款がそうなのかは分かりませんが、
使用されることが多い大手損保の約款には、一昔前までは、何も取り決めが書いてありませんでした。
また、
②保険会社によって、弁護士費用特約の具体的な内容は違います。
それどころか、同じ保険会社の同じ内容の契約であっても、担当者や地域によって、運用が異なる面があります。
保険の世界は、弁護士の経験では、交渉によって賠償額が変わることはしょっちゅうで、公平さや明確さを欠く部分がありますが、弁護士費用特約の場面でも、同じようなことが多々あります。
次回からは、
交通事故事件を多く扱っている弁護士が自分自身で経験したことや、
弁護団活動や弁護士どうしの情報交換を通じて聞いた、熊本県内や熊本県外(例えば、東京や大阪など)の情報を、
各保険会社ごとに、ご説明していこうと思います。