交通事故の裁判における攻防② 診療録等の開示
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【交通事故の裁判における近時の動き】
熊本県内を中心に、被害者側として、多くの交通事故案件を扱わせて頂いている弁護士の経験からすると、
近時、熊本地方裁判所をはじめとする各裁判所で、交通事故の人身損害に関して訴訟を行う場合、
保険会社側が、被害者様の交通事故治療に関する診療録(カルテ)等の開示を求めてくることが、多くなっています。
特に、よくある、追突事故による、むち打ち症などの場合は、保険会社側は、ほとんどの案件で、診療録等の開示を求めてきています。
そして、保険会社側代理人弁護士が、診療録等の開示について、病院などから裁判所へ診療録等を取寄せるべく、申立を行うと(文書送付嘱託申立)、裁判所は、ほぼ申立を採用しています。
更に、熊本県内を中心に、交通事故訴訟を、多数、担当させて頂いている弁護士の肌感覚として、裁判所も、以前ほど被害者寄りではない印象を受けています。
すなわち、被害者側に厳しい判断を下すことも多いということです。
【被害者側代理人弁護士の対策】
そのため、対策として、
被害者側代理人弁護士も、特に、むち打ち症のようなご本人様の訴えが中心で、客観的な裏付けが乏しい類型のお怪我について、訴訟提起に踏み切るかどうかを検討する場合、
訴訟になった場合をシミュレートして、事前に被害者様に可能な限り適切なアドバイスをするため、
訴訟提起前に、診療録等を通院先の病院等から取得して頂き、それを検討することも、ぐっと増えてきています。
診療録等の翻訳をしてくれる会社もありますが、
自分でも、診療録等の内容を読み解く能力が、交通事故を扱う弁護士にとって、より一層、求められてきている、といってよいと思います。