Solution to Traffic Accidents交通事故解決ガイド

カルテを読み解く⑬~呼吸機能障害

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交通事故により、例えば、肺の機能に損傷を受け、呼吸機能に障害を残すことがあります。
 
 
【呼吸機能障害の判定方法】
呼吸機能障害については、
①動脈血酸素分圧と動脈血炭酸ガス分圧の検査結果による判定
②スパイロメトリーの結果および呼吸困難の程度による判定
③運動負荷試験の結果による判定
があります。
 
 
【動脈血ガス分析】
①に関しては、動脈血ガス分析という検査があります。
動脈から採血し、血液中に含まれる「酸素の量」や「二酸化炭素の量」を調べます。
 
そもそも、肺とは、呼吸により大気中の酸素を血液に取り込み、血液中の二酸化炭素を放出する器官ですから、肺を通過したばかりの動脈血を調べてみて、酸素の量が少なかったり、本来ならば肺で排出されるべき二酸化炭素の量が多かったりすれば、問題がある訳です。
 
参考までにご説明すると、酸素についてだけであれば、パルスオキシメーターという、指先に装着するだけで採血せずに、簡単に調べることができる検査機器があるのですが(2種類の光を発して、指を透過するときに吸収される光の差を測定・分析します。)、パルスオキシメーターでは二酸化炭素の量が分かりません。
 
 
【スパイロメトリーと呼吸困難の程度】
②は、スパイロメーターという機器による検査と、
・連続しておおむね100メートル以上歩けないとか、
・平地でさえ健常者と同様には歩けないが、自分ペースでなら、1km程度の歩行が可能であるとか、
・健常者と同様には階段の昇降ができない
などといった呼吸困難の程度
による判定です。
 
スパイロメトリーとは、スパイロメーターという機器で、呼吸のときの呼気量と吸気量を測定し、呼吸の能力を調べる、換気の機能を調べる基本の検査です。
 
肺活量の程度や最初の1秒間でどのくらいの空気を吐き出せるか、を見ていきます。
 
 
【具体例】
熊本県八代市在住の70代女性の方の交通事故事案です。
熊本県内で、ご家族様運転の車に同乗していたところ、センターオーバーの車に衝突されるなどの交通事故に遭い、肋骨骨折や胸骨骨折をされました。
治療先の熊本市内の病院の医師から、「呼吸機能検査で中程度の拘束性障害を認める」との診断を受けました。
 
この方については、
スパイロメトリーの結果を勘案して、「%1秒量が55を超え70以下又は%肺活量が60を超え80以下であるもの」と捉えられることなどから、呼吸機能の障害について、「胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの」として後遺障害等級11級10号が認定されました。
 
結果だけを見れば、簡単なようですが、当初の等級認定では、呼吸機能障害については後遺障害等級認定がされず、弁護士による異議申立で、新たに等級認定されたものです。
また、弁護士にて、治療先の熊本市内の大病院に、ご本人様やご家族様に同行しての医師面談をさせて頂き、
「検査をしても大した障害は出ないと思う。」旨を仰る医師に、弁護士から検査が必要な理由を説明するなど、頼み込んで検査をしてもらい、後遺障害等級認定に漕ぎつけたものです。
 
 
【参考文献】
高野真人編「後遺障害等級認定と裁判実務」591~592頁(新日本法規出版、改訂版、2017年)
国立病院機構西新潟中央病院・ホームページ(「酸素飽和度検査・動脈血ガス分析」)
一般財団法人日本健康増進財団・ホームページ(「呼吸器の検査」)
福島病院・ホームページ

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