Solution to Traffic Accidents交通事故解決ガイド

カルテを読み解く⑫~高次脳機能障害(頭部MRI)

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交通事故による高次脳機能障害において、脳の損傷が、CTやMRIといった画像で確認できることは非常に重要です。
 
また、後遺障害等級が「非該当」とされた交通事故について、弁護士にて、交通事故による高次脳機能障害があるはずだと争っていく事件が、しばしばあります。
 
いなば法律事務所では、熊本県を中心とした交通事故被害者の方の事件を担当させて頂くことが多いのですが、後遺障害等級非該当とされた方の交通事故について、熊本地方裁判所に訴訟提起して争い、後遺障害等級3級の高次脳機能障害があるとして解決できたこともあります。
 
このような場合、弁護士が、脳外科医などの医師と面談して、被害者様の症状や画像上の所見について確認することがあります。
このような時も、漫然と医師面談するのではなく、撮像法の特性を踏まえて、面談に臨むほうが、より実のある医師面談ができると考えております。
 
 
【MRI】
Magnetic Resonance Imaging(磁気共鳴画像)の略。
強い磁石と電磁波を使って、体内の状態を断面像として描写する検査です。
CTに比べて画像の密度分解能が高く、CTでは診断が困難な器質性病変の描出が可能です。
 
MRIの撮像法は様々なものがありますが、ここでは、うち、以下の撮像法を説明していきます。
 
 
【T2*(T2スター)画像】
脳内に出血があった場合に、流れ出た血液(赤血球)の中にあるヘモグロビンが分解されてヘモジデリンに変化します。
T2*画像は、磁場の不均一性を強調した撮像法ですが、出血後、数年が経過してもヘモジデリン沈着の低信号域として脳出血を描出でき、慢性期の脳出血の診断で優れた検査法とされています。
 
 
【SWI】
Susceptibility Weighted Imaging(磁化率強調画像)の略。
組織間の磁化率の差を強調した画像のことです。
頭蓋内の鉄を低信号として検出でき、従来では分からなかった脳の小さな出血(微小出血)も診断可能です。
T2*画像よりも、古い出血に対して、更に鋭敏な画像ですが、鋭敏すぎて外傷でない人にも存在する出血痕との区別が難しく、その場合は、出血の位置などから判断する必要があると言われています。
 
 
【参考文献】
中島八十一、寺島彰編「高次脳機能障害ハンドブック」50~51頁(医学書院、2006年)
吉本智信著「高次脳機能障害と損害賠償」26~27、47頁(自動車保険ジャーナル、全面改訂版、2011年)
国立病院機構熊本医療センター・ホームページ(くす通信・第125号「かくれ脳出血 MRI検査について」)
愛知医科大学病院ホームページ
墨田中央病院ホームページ
沖縄県医師会ホームページ(医師会報)
日本医事新報社ホームページ
ほか
 

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