刑事記録を読み解く①~事故現場の路上痕跡「タイヤの痕跡」
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交通事故の現場には、
・車両部品が散乱していたり、
・スキッドマーク(車両のタイヤによって印象されたもの)
・金属痕
・オイル痕
・血痕
などが残されていたりします。
これらから、衝突地点を特定したり、車両の進行方向や制動の有無などを解析していくことができます。
実務上、熊本で、交通事故被害の解決をしていく中で、弁護士としては、事故規模の把握や過失割合の検討などのため、刑事記録を取得することが多々あります。
刑事記録の中では、実況見分調書の中の交通事故現場見取図などで、車両部品の散乱状況やスキッドマーク、人身事故の場合は血痕などが、記載されているのを、よく目にします。
以下では、スキッドマークについて、どのようなものか、ご説明します。
【スキッドマーク】
路面に印象された、車両のタイヤの痕跡です。
交通事故現場の路上におけるスキッドマークは、事故に関係する車両の車種や速度、衝突地点などを推定するのに役立ちます。
具体的には、以下のスキッドマークがあります。
① スリップ痕
交通事故時の急制動によりタイヤがロックされた際に、路面上に印象される直線的な縦滑りの痕跡です。
開始地点では薄く、徐々に濃くなっていきます。
そのため、どの地点からスリップ痕が開始しているかには十分注意が必要です。
スリップ痕の長さから車両の制動距離を推定し、そこから逆算して、制動開始時の速度を推定し得ます。
② 横滑り痕
交通事故では、車両がカーブを旋回中に横滑りを起こした際に路面に印象されたり、急ハンドルによってスピンした際に路面に印象されたりします。
③ スキッド痕
交通事故における、車両衝突時の衝撃によって生じる不規則なタイヤの痕跡や、衝突後の車両の移動時に印象されるタイヤの痕跡です。
【参考文献】
牧野隆著「捜査官のための交通事故解析」1~4頁(検察協会、2006年)
交通実務研究会編「〔新版〕図解 交通資料集」27頁、43~44頁(立花書房、2008年)
ほか