カルテを読み解く⑪~膝半月板損傷
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【膝半月板】
半月板とは、膝関節の中で、大腿骨と脛骨の間にある、三日月ないしはアルファベットのCのような形をした、軟骨に似た組織で、内側と外側にそれぞれ1つずつあります。
半月板は、膝関節の滑らかな動きを助ける重要な役割を担っています。
具体的には、
①関節に加わる体重の負荷を分散させる働き
②関節の位置を安定させる働き
③潤滑の補助の働き
をしています。
半月板は、その周辺の一部までしか血行がなく、それ以外の部位の損傷は自然に治癒しないため、多くの場合、手術が必要になると言われています。
【半月板を損傷した場合の症状】
・痛み
・膝を曲げ伸ばしした時のひっかかり感
・断裂した半月板が関節に挟まり、いわゆる「ロッキング」という現象を生じて、急に膝の曲げ伸ばしができなくなる
・関節の中で炎症を起こして水が溜まって腫れたり(関節水腫)、出血して血液が溜まる
などの症状があります。
前十字靭帯損傷をはじめとした靭帯損傷に合併することも多いとされています。
【交通事故との関係】
弁護士としては、残存症状に応じて、
①神経症状(疼痛などの残存がある場合)として、
・12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」
・14級9号「局部に神経症状を残すもの」
や
②膝関節の可動域制限がある場合、例えば、
・12級7号「1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの」など
を検討していくことになるかと思います。
【画像所見】
半月板はレントゲンやCTに映らないため、MRI検査をする必要があります。
【治療方法や手術後の症状】
消炎鎮痛薬などによる治療やリハビリテーションなど保存的治療で症状が改善する場合もありますが、半月板の部分切除術や縫合術、あるいはこれら2つの手法を組み合わせた手術が必要な場合もあります。
手術をした場合でも、不幸にして、
・皮膚表面の極小の知覚神経の損傷により、切開した皮膚の周囲とその外側に知覚鈍麻が生じること、
・残存半月板や縫合半月板が損傷すること、
・術後にも関節水腫が遷延化すること、
などがあります。
【参考文献】
中村耕三監修「整形外科クルズス」244~246頁(南江堂、改訂第4版、2009年)
聖路加国際病院ホームページ
順天堂大学医学部附属順天堂医院ホームページ
ほか