カルテを読み解く⑩~スパーリングテスト・ジャクソンテスト
ガイド一覧へ
【スパーリングテスト(Spurling Test)】
頚部の神経根障害を調べる検査です。
患者の頭部を、痛みや痺れの出ている側(患側)へ傾け、かつ、後ろに曲げながら(後屈して)圧迫していき、上肢に放散痛が誘発されるか調べます。
圧迫することで、椎間孔が狭められるので、そこを通る神経根に障害が存在すると、その神経根の支配領域に疼痛やしびれ感が放散し、陽性(+)ということになります。
【ジャクソンテスト(Jackson Test)】
頚部の神経根障害を調べる検査です。
一般的に、Jackson head compression testが、ジャクソンテストと言われています。
患者の頭部を後ろに曲げながら(後屈しながら)、圧迫します。
神経根の支配領域に疼痛やしびれ感が放散した場合に、陽性(+)となります。
Jackson shoulder depression test(肩引き上げテスト、ショルダーデプレッションテスト)をジャクソンテストと呼ぶこともあります。
こちらは、患者の頭部を、痛みやしびれがない側に倒し、痛みやしびれがある側の肩を押し下げます。
神経根障害がある場合、その支配領域に疼痛やしびれ感が放散し、陽性(+)となります。
【交通事故との関係】
追突事故などの交通事故で、頚椎捻挫(むち打ち症)を受傷される、被害者の方は多くおられます。
頚の痛みや上肢の痺れなどが、なかなか取れない場合、弁護士としては、後遺障害等級
・12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」
・14級9号「局部に神経症状を残すもの」
の認定可能性を検討していきます。
スパーリングテストやジャクソンテストが陽性であることは、後遺障害等級が認定される方向の判断要素となり得ると考えられるため、
このようなテストを医師に実施していただき、陽性となった場合、その結果を、後遺障害診断書にきちんと記載してもらうことが重要と考えます。
【参考文献】
中村耕三監修「整形外科クルズス」439頁(南江堂、改訂第4版、2009年)
栗宇一樹ほか編「交通事故におけるむち打ち損傷問題」51頁(保険毎日新聞社、第2版、2012年)
ほか