カルテを読み解く⑥~FNST(大腿神経伸展テスト)
ガイド一覧へ
【大腿神経伸展テスト、大腿神経伸長テスト(Feomoral Nerve Stretch(Stretching) Test:FNSテスト)】
Feomoral:大腿
Nerve:神経
Stretch:伸展
Test:テスト、検査
患者をうつ伏せに寝かせ(腹臥位)、
膝を90°に屈曲させ、
検査する者が、
その一方の手で患者の曲げた下肢の下腿を持ち、
もう一方の手で臀部を押さえながら、
曲げた下肢を持ち上げるようにして股関節を過伸展させます。
椎間板ヘルニアなど、大腿神経(L2、L3、L4の神経根)に障害がある場合、大腿神経に沿った大腿前面に痛みが放散されます(陽性)。
【交通事故との関係】
ラセーグテストやSLRテストなどと同じく、交通事故で腰椎捻挫を受傷された方の、後遺障害を判断する際に、一資料となり得ます。
例えば、熊本市東区のT整形外科(丁寧な後遺障害診断をされる傾向にあります。)の場合、後遺障害診断時に、SLRテストとFNSテストを実施される傾向が見受けられます。
【弁護士の所感】
以下は、後遺障害診断に対する、稲葉弁護士の個人的な所感ですが、
弁護士として、一番、こまる病院は、きちんとした検査をせず、医師の独断的な考えで、後遺障害診断書を作成される病院です。
このような病院にあたった場合、より重い症状であっても後遺障害等級が認定されにくかったり、余計な労力や費用がかかったりします。
逆に、弁護士として、望ましい病院は、きちんとした検査をした上で、検査結果に基づいた後遺障害診断書を作成していただける病院です。
後遺障害診断書の内容や後遺障害等級認定申請の結果が、交通事故被害者の方に有利な場合はもちろんですが、仮に、後遺障害診断書に不利な記載があったとしても、事案をよく理解することができますし、被害者の方にも、事実に基づいて説得的な説明ができ、結果として、「納得できる」解決につながっているように思います。
【参考文献】
日本大学医学部整形外科学系整形外科学分野 脊椎班 著「脊椎脊髄ハンドブック」68頁(三輪書店、第2版、2014年)
栗宇一樹ほか編「交通事故におけるむち打ち損傷問題」54頁(保険毎日新聞社、第2版、2012年)
ほか