カルテを読み解く②~手根管症候群
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【手根管症候群(carpal tunnel syndrome)】
正中神経(せいちゅうしんけい)が手首で圧迫される病気です。
正中神経は、手掌知覚枝を分枝したのち、指を動かす9本の腱と一諸に、手首の部分で手根管という狭い管(トンネル)を通過します。
この管(トンネル)の部分で正中神経が圧迫されると、
・手のひらから
・手の親指の人差し指側~人差し指・中指~薬指の親指側
にかけて(正中神経の支配領域)、しびれや痛みが出現します。
進行すると、親指の付け根の筋肉がやせてきます。
親指と人差し指できれいな丸印(OKサイン)が作れなくなります。
机の上のコインがつまみにくい、ボタンを留めにくい、親指と人差し指の間を大きくひらくことができず、コップなどを持ちにくいなどの症状が出て来ます。
【診断】
手首を軽くたたくと指先に電気が走るような痛みを感じます(ティネル徴候陽性)。
胸の前で、両手の甲を下に向けて合わせ、手首を直角に曲げると、1分以内に痺れや痛みが悪化します(ファーレンテスト陽性)。
その他、手根管をはさんだ正中神経の伝導速度を測定するなどします。
【原因】
手根管のトンネルで正中神経が圧迫されているのが原因ですが、
なぜ正中神経が圧迫されているかというと、
・骨折、脱臼およびその後の変形(橈骨下端骨折、舟状骨偽関節など)や変形性関節症などでトンネル自体が狭くなっているから、
・屈筋腱鞘炎などで、トンネルの内容物の容積が増大しているから、
などといった理由
が挙げられています。
【参考文献】
中村耕三監修「整形外科クルズス」406~407頁(南江堂、改訂第4版、2009年)
公益社団法人日本整形外科学会ホームページ
済生会小樽病院ホームページ
ほか