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交通事故における参考裁判例~鹿児島地方裁判所鹿屋支部令和4年2月7日判決①

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交通事故における休業損害をめぐる裁判例③で、ご紹介した、鹿児島地方裁判所鹿屋支部令和4年2月7日判決(交民55・1・126)について、
企業損害以外にも、
裁判等で争っていく上で、参考になると考えられる判断がありましたので、以下、ご説明していきます。
 
 
① 過失割合
交通事故実務で、よく参照される、別冊判例タイムズ38から考えると、
被害者側に10%の過失相殺がされることも、あり得るように考えられました。
 
理由:判決の別紙「交通事故現場見取図」を検討しましたが、
「四輪車同士の事故」→「交差点における直進車同士の出合い頭事故」→「信号機により交通整理の行われていない交差点における事故」→「一方が優先道路である場合」※ なお、本件においては、中央線は連続していません。
より、一般に、別冊判例タイムズ38【105】図が適用される事案と考えられました。
 
しかし、当該判決では、
「本件事故の態様に照らせば、亡(略)にも一定の過失があったとみる余地がある」としながら、
結論としては、
「被告は、本件交差点に進入する際、進行方向右側を見ており、原告車両を視認する妨げとなる事情があったとはうかがわれないのに、原告車両と衝突するまでその存在に気が付いておらず、急制動の措置を取ることもしていない(略)。本件事故について、被告には脇見運転をしていたという著しい過失があり、そのことを踏まえると、亡(略)に一定の過失があったとみる余地があるとしても、本件事故について亡(略)に帰責するのは相当ではなく、本件において過失相殺をするのは相当ではないというべきである。」
として、
過失相殺を行いませんでした。
 
 
【稲葉弁護士の意見】
実務的に、別冊判例タイムズ38の影響力は大きく、
交渉や裁判の場では、個別の事情を無視して、ほとんど機械的に、過失割合を決めてしまう向きがあります。
しかし、事案ごとの個別事情により、
別冊判例タイムズ38の枠内でも、有利に過失割合が変更されることや、
(本件事故でも、「著しい過失」として、加害者側に10%の過失加重をした、と考えることも可能と思います。)
別冊判例タイムズ38に必ずしも拠らずに、過失割合が決められることもあります。

私見ですが、重大事案では、明言はされなくとも、他の考慮要素も入っているのではないかと思われることもあり、
被害者側としては、できるだけ、過失割合について、被害者側に有利な事情を拾った主張をするべきと考えます。

実際に、アグレッシブに過失修正を主張したところ、かかる主張が採用されたこともあります。
 
反対に、被害者側としてかかわった事案ではありませんが、かなり悲惨な交通事故で、これで過失を取るのか、といった事情をもとに、被害者側に過失を取った裁判もみたことがあります。
この裁判で、被害者側弁護士は、被害者側に相当程度の過失を取った、裁判所の和解案を受け入れていましたが、
もう少し、積極的に戦ってもよいのではないか、と思いました。
裁判官によって、個性や傾向もあるので、その事件の担当裁判官によっても、結論は変わってくると思います。

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