交通事故の損害賠償にあたり重要なこと⑯「将来介護費における公的扶助の損益相殺」
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【保険会社側の主張】
将来介護費が問題となるような交通事故(一般には、重度障害事案)において、
保険会社側弁護士が、
「被害者は、公的医療保険制度による給付や介護保険給付等の公的扶助を受けているところ、将来も、いまと同様に、公的扶助が受けられるだろうから、扶助を受けられる金額は、賠償額から差し引くべきだ。」
との主張をしてくることがあります。
【裁判所の判断の趨勢】
裁判実務においては、上記主張がなされた場合、
訴訟における
口頭弁論終結時まで:受領した公的扶助分を控除し、自己負担分のみを損害とする
口頭弁論終結時以降:支給を受けることが「確定していない」として控除せず、「公的扶助がないことを前提とした金額」で将来介護費を計算する
ことが主流と思われます。
示談交渉の段階で、保険会社側から、公的扶助の控除と、公的扶助を将来にわたっても控除すべきと主張されたとしても、
それを鵜呑みにするべきではないと考えます。
【参考文献】
交通事故相談ニュース 52号(2024年3月1日)5頁