Solution to Traffic Accidents交通事故解決ガイド

交通事故の裁判における攻防④ 録音テープの証拠能力

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【問題の所在】
「相手方の発言を録音したので、有利な証拠として使えると思う。」とのご相談を頂きます。
交通事故においては、例えば、
過失割合を巡る争いで、加害者が当初は認めていた過失加重要素を一転して否定する場合や、
交通事故ではありませんが、いなば法律事務所が多く扱っている労災事故において、会社側が、労災事故が発生した状況や原因を争う場合などが、
考えられます。
ここで、相手方に無断で録音した録音テープは、証拠収集の手段が不適切であり、そもそも証拠になるのかが問題になり得ます。
 
 
【裁判所の考え方】
証拠能力を否定した裁判例もありますが、概ね、肯定されると考えてよいと思います。
この点、東京高等裁判所昭和52年7月15日判決は、以下のような事案で、証拠能力を肯定しました。
 
 
🔶事案の概要
一審で敗訴した当事者(広告宣伝関係の会社)が、控訴審で戦うにあたり、個人的な伝手を頼って相手方(製薬会社)の係長を銀座の料亭に招き、この係長と、単に諾否を答えさせるような方法で誘導的に会話を行いました。
この会話を、ふすまを隔てた隣りの部屋でこっそり録音して、控訴審(東京高等裁判所)の裁判で証拠として使った、というものです。
 
 
🔶東京高等裁判所の判断
裁判所は、
その証拠が、①著しく反社会的な手段を用いて、②人の精神的肉体的自由を拘束する等の人格権侵害を伴う方法によって採集されたものであるときは、それ自体違法の評価を受け、証拠能力を否定されてもやむを得ない、と判断しました。
 
その上で、無断録音の録音テープは、話し手の人格権侵害となり得るが、著しく反社会的な手段方法で侵害したとは言えないから、証拠能力を有する、と判断しました。
 
もっとも、この事件では、結論的には、
迎合的な供述がなされた部分もあり、係長が供述した部分は、にわかには信用しがたいなどとの理由から、
控訴した広告宣伝関係の会社が敗訴しました。

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