交通事故における後遺障害等級②~関節唇損傷
ガイド一覧へ
「指定紛争処理機関 一般財団法人 自賠責保険・共済紛争処理機構」の紛争処理事例で、
「左股関節痛について、MRIで左股関節に関節唇損傷が認められ、診断書上でも事故当初から損傷を裏付ける症状や所見が認められることから、神経症状が他覚的に証明されるものとして、後遺障害等級12級13号に該当するとした事例」があります。
(「自賠責保険・共済紛争処理事例集 第13巻」(平成26年度)事例No.25)。
【事故態様】
自転車を運転していた申請者の方が、普通乗用自動車に衝突され、負傷した事案です。
【左股関節痛についての、自賠責保険会社の判断】
後遺障害等級14級9号「局部に神経症状を残すもの」に該当するものと判断されていました。
【申請者のご主張】
申請者の方は、左股関節の痛みのため、自力では立てないなど、日常生活に支障が生じているところ、
MRI画像で左股関節に損傷が確認されていることから、
後遺障害等級12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」が認定されるべきだ、と主張されました。
【紛争処理委員会の判断~後遺障害等級14級9号→12級13号への認定変更】
紛争処理委員会において、左股関節部の画像を検討したところ、レントゲン写真では、外傷性の異常所見は認められませんでしたが、MRI画像では、関節唇損傷が認められました。
また、診断書上でも、交通事故の発生当初から、左股関節損傷を裏付ける症状・所見等(事故から1か月弱後の診断書では「左股関節では骨頭前面に圧痛と屈曲時に圧痛を伴う」、後遺障害診断書では「左股関節の内旋時に疼痛を伴う」など)が認められると判断されました。
この点、
主たる症状が局部に限定される疼痛等の場合には、神経系統の障害として14級9号と12級13号の2種の等級が定められているところ、上位等級である12級13号に該当する要件は、「神経系統の障害の残存が他覚的に証明される」必要があるとされていますが、申請者の方の左股関節の神経症状は、この要件に該当するとして、後遺障害等級12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」が認定される、との調停(紛争処理)結果が示されました。