事例836
交通事故訴訟★熊本市西区・50代女性・鎖骨骨折、弁護士依頼後に「合計約1005万円」を回収して和解解決
被害者:50代女性、熊本市西区在住
後遺障害等級:12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」
争点①「過失割合」:保険会社主張「当方50%」→「当方0%」
争点②「労働能力喪失期間」:保険会社主張「10年間」→「約15年間」
※労働能力喪失期間とは、後遺障害が仕事に影響する期間のことで、本件の場合、裁判基準的な考え方では「約15年間」となります。昨今では、保険会社側は、神経症状12級13号では「10年間」と主張してくることが多々あります。
《弁護士の活動①:自賠責被害者請求→後遺障害等級12級13号の認定を得て自賠責保険金約265万円を回収》
本件交通事故は、法律相談の時点で、既に、相手方保険会社が「被害者の過失は50%ある」と主張しているなど、
隔たりが大きく、訴訟提起が必要になる可能性が高いと判断されました。
また、ご本人様に弁護士費用特約の適用がなく、そのため、訴状に貼付する収入印紙代等の捻出のためにも、まず、自賠責保険に被害者請求を行うのが適切な戦略である、と判断されました。
そのため、
稲葉弁護士は、
後遺障害等級認定を得るという目的に加えて、今後の訴訟提起を視野にいれた全体的な戦略から、
ご本人様と協議の上で、自賠責保険に被害者請求を行いました。
被害者請求の結果、
・「鎖骨骨折後の肩周囲の痛みやピリピリ感」などの残存症状について、後遺障害等級12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」
が認定されました。
この時点で、後遺障害分の自賠責保険金224万円+傷害分の自賠責保険金120万円の残枠約45万円の「合計約265万円の自賠責保険金」を先行して回収できました。
上記約265万円は、保険会社との示談では、通常は、最終示談金に含まれることが一般的です。
しかし、本件交通事故では、訴訟提起を予定している、という全体的な戦略もあり、この時点で、弁護士が先行して回収しました。
《弁護士の活動②:熊本地方裁判所への訴訟提起→「当方過失0%」かつ自賠責保険金に加えて「約740万円を回収」して和解解決》
後遺障害等級認定を得た後、念のため、相手方保険会社に示談交渉を打診しましたが、
予想どおり、交渉による満足のいく解決は困難と判断されました。
そこで、当初の予定どおり、熊本地方裁判所に訴訟提起を行い、適切な解決を図ることにしました。
訴訟において、
保険会社側の弁護士(熊本市内の保険会社の指定弁護士が選任されました。)は、
争点①について「被害者側の過失は35%」
争点②について「被害者様の肩の後遺障害の労働への影響は10年間程度」
などと主張してきました。
これに対して、稲葉弁護士は、
争点①について「加害者が左折と同時に左折合図をしているが、これは『合図遅れ』というよりも『合図なし』と評価されるべきものである」
争点②について「ご本人様の鎖骨がきちんと癒合せずに偽関節となっており、時間の経過により神経症状が解消するとは考えられない」
などと、刑事記録の図面や、ご本人様の骨折部位の経時的な画像などを用いて、具体的に主張立証しました。
その結果、担当裁判官から、
争点①について「過失割合は当方0%」
争点②について「ご本人様の肩の症状は時間の経過により容易に軽減したり馴化したりするとは考え難く、労働への影響は、被害者側の主張どおり、被害者の平均余命の半分(約15年間)は続く」
など、当方の主張にほぼ沿った内容での和解案が示されました。
裁判官が示した和解金額は「約740万円」の追加支払となります。
ご本人様と相手方弁護士の双方が、裁判官が示した和解案を受け入れましたので、裁判上の和解での事故解決となりました。
稲葉弁護士が「先行回収した約265万円」と裁判上の和解での新規回収「約740万円」の「合計約1005万円」が弁護士による回収額となります。
《稲葉弁護士のコメント》
重要争点において、「当方のほぼ全面的な勝訴」と評価できる和解内容と、と考えております。