【事案の概要】
被害者:熊本市東区在住の兼業主婦
交通事故の概要:熊本市内の交差点における、出合い頭衝突事故(自動車vs自動車)
傷病名:頚椎捻挫、右手関節捻挫
後遺障害等級:併合14級(14級9号「局部に神経症状を残すもの」×2部位)
【弁護士依頼の経緯】
「後遺障害等級認定の申請と示談金交渉をして欲しい。」とのご相談でした。
法律相談後、いなば法律事務所に交通事故解決のご依頼を頂きました。
本件交通事故には、弁護士費用特約の適用がありましたので、弁護士費用については、特約で賄う形でのご依頼となりました。
【弁護士の活動① 後遺障害認定の申請】
弁護士にて、治療先の熊本県内の病院に伺い、医師との面談を行う等した結果、
頚部と右手関節に、
それぞれ14級9号「局部に神経症状を残すもの」の後遺障害等級の認定を受けることができました。
2部位あわせて、後遺障害等級併合14級となります。
【弁護士の活動② 示談交渉→交通事故紛争処理センターでの和解あっ旋→審査会への移行と審査による最終解決】
後遺障害等級が認定された後、相手方保険会社との賠償額の交渉に移行しました。
本件では、相手方保険会社が、「ご本人様の休業損害と逸失利益の損害がないと強硬に主張」した事案である、という特殊性がありました。
弁護士としては、訴訟をした場合、かかる保険会社の主張が認められる可能性は低いと判断したため、熊本地方裁判所への訴訟提起を考えていました。
しかし、ご本人様が話し合いでの解決を強く希望されましたので、
交通事故紛争処理センター(福岡)に、和解あっ旋(あっせん)申立てを行う方針としました。
結果的には、和解あっ旋では話がまとまらず、交通事故紛争処理センター内の審査会による審査へと移行しました。
審査会の審査においては、
弁護士にて、ご本人様の仕事や家事労働の内容について、丹念に主張立証した結果、「休業損害と逸失利益も含めて」総損害額「約410万円」の認定を受けることができました。
ご本人様の過失対応分と相手方保険会社から既に支払われていた金額を除く、新規回収額は「約290万円」となります。
【弁護士のコメント】
示談交渉では、交通事故の内容や治療経過はもちろんですが、「交渉相手がおりますので」相手方保険会社がどこかや、担当者が誰かによっては、妥当な賠償金額が得られないと判断される場合があります。
熊本県内を中心に、多数の交通事故示談交渉をしておりますと、示談交渉では妥当なラインの金額をなかなか出してこない保険会社や担当者というのは、どうしてもいます。
このような場合は、通常は、訴訟を提起して、主張立証を尽くした上で、裁判所に妥当な賠償金額を決めて頂きます。
また、訴訟の場合は、判決になると法律上の権利として遅延損害金が付されますし、慣習によるものですが、交通事故の場合には弁護士費用相当額が付されることがほとんどと言ってよいと思います。
しかし、ご本人様が裁判所での解決を希望されない場合は、第三者機関に「和解あっ旋」を申立てて、第三者に間に入ってもらう形で、話し合いを継続することが可能です。
交通事故紛争処理センターの「和解あっ旋」には相手方保険会社への拘束力がありませんので、和解が成立しない場合は、さらに次のステージである審査(裁定)手続に移行することができます。
審査手続における「裁定」は、被害者側を拘束しませんが、保険会社は審査会の裁定を尊重することになっています。
公益財団法人交通事故紛争処理センターにおける手続の流れは、下記、紛争処理センターのホームページをご参照頂ければと思います。
http://www.jcstad.or.jp/guidance/flow/
本件では、裁判所での解決を避けるため、交通事故紛争処理センターの審査を利用した事案となります。
(本件においても、弁護士としては、裁判をした場合は、更に賠償額を上乗せできる可能性が高いと考えますので、戦える事案の場合は、基本的には、裁判をしたほうがよいとは思います。)
低い賠償金額では示談したくないが、裁判所での解決は避けたい、という場合、このような手続もありますので、ご紹介させて頂きました。