事例1041
交通事故訴訟★熊本県・県南地域・女性・後遺障害等級11級につき「約2400万円」を受領する形で裁判上の和解解決
被害者:女性、熊本県・県南地域在住
事故態様:同乗中の交通事故
傷病名:第1腰椎破裂骨折
後遺障害等級:11級7号「脊柱に変形を残すもの」
《弁護士の解決方針~訴訟提起に至った事情》
本件では、下記①~③の問題点があり、これらについては訴訟提起をしたほうが適切な解決が図ることができる、と考えられました。
また、訴訟提起したほうが、遅延損害金や弁護士費用相当額の回収を図ることができ、ご依頼者様に有利な解決ができると考えられました。
※ 「遅延損害金」については、交通事故解決ガイド「交通事故の損害賠償にあたり重要なこと⑫『遅延損害金』」(https://www.5225bengoshi.com/guide/detail/masterid/100)をご覧下さい。
①被害者側の過失
加害者側保険会社は、「被害者側の過失があり、過失相殺がされるべき」と主張していました。
事故態様から、そもそも過失はない、というのが当方の考えでした。
②逸失利益の算定
脊柱変形は、労働能力喪失率や労働能力喪失期間が争われることが多い後遺障害類型です。
というのは、仕事への影響度合いが、個別の事案によって大きく異なるからです。
特に、昨今では、逸失利益について、保険会社側が、かなり厳しい算定をしてくることが非常に多く見受けられます。
逸失利益について、本件では、労働能力喪失率や労働能力喪失期間の認定に関して不利な事情はあまりなく、しっかりと回収すべき、と、当事務所では考えました。
③傷害慰謝料・後遺障害慰謝料の金額
昨今では、示談段階で、保険会社側は裁判基準の慰謝料額の満額を支払ってこないことが多いです。
被害者様本人で交渉するよりも、弁護士が交渉するほうが金額が多額になることが多いですが、弁護士交渉においても、裁判をしない段階では、裁判基準からいくぶん、割り引いた金額までしか提示しないことも多く、それを是認するような東京地方裁判所交通部の裁判官発言もあります。
本件では、傷害の程度も重く、事案検討をした結果としても、不利な事情はあまりなく、しっかりと回収を図るべき、と当事務所では考えました。
以上より、
示談交渉を継続するのではなく、熊本地方裁判所(支部を含みます。)に訴訟提起を行い、遅延損害金や弁護士費用相当額も含めた回収を図るべき、との結論に達しました。
依頼者様には、弁護士の見解をご説明し、協議した結果、訴訟提起をすることになりました。
《熊本地方裁判所での訴訟追行と裁判上の和解解決》
裁判において、加害者側弁護士(実質的な保険会社側弁護士)は、
「被害者側過失として30%の過失相殺がされるべき」
「収入への影響がある期間(労働能力喪失期間)は10年間に止まる」
などの主張を展開しました。
担当裁判官も、被害者側の過失が成立するといった心証を開示していましたが、
いなば法律事務所の弁護士は、裁判例を調査し、本件においては、被害者側の過失が成立しないことを、主張しました。
これらの主張立証活動の結果、
担当裁判官も、被害者側過失について成立しない、との見解に意見変更し、
「被害者側の過失が成立せず」「労働能力喪失期間も67歳まで」ということを前提にした、
調整金を付加する前の段階で「保険会社の既払い金を除き約2035万円」を被害者様が受領する、との和解案が示されました。
和解交渉においても、保険会社側や裁判所が示す金額に安易に妥協することなく、金額交渉を行った結果、
調整金を付加して、
「保険会社の既払い金を除き約2400万円」を被害者様が受領する、との内容で、裁判上の和解解決となりました。
本件訴訟追行では、
弁護士としても、現地の見分や、熊本県内の治療先の病院に医師面談に伺うなどの訴訟活動を行い、
内容的に、自信をもって、被害者様に、ご説明できる解決ができたと考えております。
ご依頼者様からも、最終のご面談時に、
「自分の力ではここまで持ってくることはできなかった」旨のお言葉とお菓子を頂戴し、
弁護士及び所員一同、「解決内容にご満足頂けた」ものと、大変、嬉しく思っております。
今後も、ご依頼案件について、最善の解決を図るべく、弁護活動に精進して参ります。