事例1027
交通事故訴訟★熊本県内・後遺障害等級併合14級・医療従事者につき、保険会社側の主張「過失相殺後かつ既払い金控除後」で「約120万円」に対して、「約340万円」で和解解決(※既払い金は約330万円)
被害者:熊本県内在住
職業:医療従事者
《保険会社側の主張》
総損害額:約640万円
ご本人様の過失割合:30%
過失相殺後かつ保険会社が既に支払った賠償額(既払い金)控除後の新規支払額:約120万円
※ 保険会社の既払い金:約330万円
《熊本地方裁判所への訴訟提起に至る経緯》
熊本県内の医療従事者様からのご依頼案件です。
(いなば法律事務所では、医師・看護師・柔道整復師・その他医療関係者の方からも、交通事故のご依頼をしばしば頂いております。)
本件事故では、「保険会社担当者との示談交渉で、満足のいく解決をすることは難しい」と考えられました。
ご本人様に、この点をご説明し、解決方針について、協議しました。
その結果、本件事故では、公正な解決を求め、熊本地方裁判所に訴訟提起を行う方針となりました。
保険会社ごとに交渉姿勢に違いがありますが、昨今では、保険会社側の支払姿勢も厳しくなっておりますので、本件のように、訴訟解決を図ったほうが適切と考えられる事案も多々あります。
《弁護士の解決~過失割合「20%」、新規支払額「約340万円」で和解解決》
熊本地方裁判所に訴訟提起を行い、治療における診療録や事故現場の状況等に基づいて、主張立証を行いました。
詳細は、伏せさせて頂きますが、弁護士においても証拠収集の活動を行いました。
主張立証の結果、裁判所から、
総損害額:保険会社側主張「約640万円」→裁判所認定「約820万円」
過失割合:保険会社側主張「30%」→裁判所認定「20%」
過失相殺後かつ既払い金控除後の新規支払額:保険会社側主張「約120万円」→裁判所認定「調整金を付加して約340万円」
との和解案が示されました。
ご本人様と協議の上、裁判所の和解案を受諾することとし、
「約340万円」を保険会社側が新たに支払って事故解決とする、という内容で和解が成立しました。
《用語解説~「調整金」とは?》
交通事故の訴訟において、判決までいった場合、
本体部分の賠償額に付加して、
①弁護士費用、②遅延損害金、の2つの費目が付加されることが一般的です。
うち、
①は、実際に発生する弁護士費用とは関係なく、裁判所が認定するものです。
金額としては、本体部分の賠償額の10%程度のことが多いです。
法律上、必ず付加しなければならないものではなく、裁判官の判断によりますが、
交通事故の判決の場合、付加されることがほとんどです。
そのため、弁護士費用特約がなくても、弁護士費用が、ここから大部分、まかなえることも多いです。
②は、法律上、必ず発生するものであり、
交通事故の場合、事故日から加算されるのが最高裁判所判決の立場です。
※ もっとも、比較的経験の少ない裁判官の担当事案で、遅延損害金の起算日を誤っている事例が過去にありました。
令和2年3月31日以前に発生した交通事故の場合、遅延損害金は年5%、令和2年4月1日以降に発生した交通事故の場合、遅延損害金は年3%(現行法では、法定利率は、法務省令で定めるところにより、3年を1期として1期ごとに変動する、とされていますので、今後、変動していく可能性があります。年3%は、本稿執筆時点である令和4年10月29日現在の法定利率となります。)となります。
交通事故の場合、
和解において、①②に代わって、「調整金」という名目で、
①②の満額ではありませんが、一定の金額が付されることが一般的です。